氷舌と巨大な氷山の衝突

 惑星上の最大の遊離し浮いているものが砕けるとき、何が起こりますか?
 私たちは、数日で目撃するかもしれません。
 NASAのアクアとテラ衛星に搭載してある中程度の解像度イメージング分光放射計(MODIS)が、2004年11月9日から12月13日までに連続して記録しました。
 科学者は、大きい氷山が12月24日までにドリガルスキー氷舌に突っ込むことができたと思っています。
 今日(2005年1月1日)時点で、激突の瞬間映像をスクープしたという情報が届いていませんので、ほぼ間違いなく衝突したはずの巨大な氷山漂流をご紹介します。
 主題画像と連続画像の拡大は、250メートル解像度バージョンですので、メガバイトの容量があります。

 惑星地球の南半球の夏の雪解けは、通常、南極大陸ロス海マクマード湾を越冬で積もった濃い海氷から解放しますけれども、今年は進行が妨げられています。
 南半球が夏に入っても、東京都を完全に覆ってもまだ余る3,000平方キロメートルのB-15A氷山が、凍結したマクマード湾に放置されて、通常ならば風が氷をバラバラにするのですが、中断したまま現在の型を見せています。
 海氷は、2003年11月7日までにマクマード湾から出港し始めました。氷は、2004年を通して12月13日まで固いままでした。
 B-15A氷山が両方の年に存在したけれども、その位置は、ロス海へ氷の流入を塞ぐのにちょうど十分なくらいまで移動しました。

 11月9日から12月13日の間に長いB-15A氷山は、ロス海の開いた海上で、ロス島から離れて漂いました。
 2003年10月にB-15Aから壊れたB-15J氷山は、回転してその親の後を追っているかもしれません。
 凍ったマクマード湾は、2つの広い氷山のほぼ中央の青っぽい白です。
 B-15氷山を2000年に産んだ氷を浮かせる大きい広がりの滑らかな白いロス氷棚は、それらの氷山の下方にあります。
 スコット海岸のゴツゴツしたフィヨルドは、画像の左上で、部分的に雪から開放されています。

 氷の蓄積は、南極大陸の生息動物にとって重要な問題を提示します。
 ペンギンは、現在、食物に到達するために広い海で遠い距離を泳いで横断しなければなりません。成長しきったペンギンは、旅行を続けることができないかもしれず、食物に到達したとしても食物を持ち帰る若者と一緒に帰られないかもしれません。
 その結果、多くのひな鳥は、飢える可能性があります。
 12月と1月にアメリカ合衆国マクマード基地とニュージーランドのスコット基地に供給船が着くことは、また、難しい可能性がありました。

 NASAの内部では、この惑星史上最大のぶち壊し競技について、真っ二つに分かれています。
 外面は一枚岩のように見えるNASAですが、この氷山のぶち壊し推測のように、派閥がある模様です。
 現在のところ優勢な派閥は、氷舌が無傷のままでいる理由がない派ですが、氷山を注視している一方の派閥のリーダーは、「氷舌が多寡が3000平方キロメートルしかない氷山崩れなどに負けるはずがない」と氷舌の頑固さを評価しています。
 いずれにせよ、結果は、B-15A氷山の動きに依存します。NASAが得意な『他力本願』ですからね。

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