未知との遭遇をしたキミの瞳に惹き込まれて

この画像は、まさに目と目が合った瞬間かもしれません。
チョウは確実にカメラレンズに視線を向けています。
身を守るためにも、視線を向けなければならない状況だったからです。

これまでも述べてきましたが、この被写体のチョウとカメラ本体との距離は、5センチメートル未満です。

時には、被写体に1センチメートルまでカメラを接近して撮りますが、焦点が定まる前に舞って身をかわしてしまいます。

チョウたちにとって銀色に鈍く光りながら突然接近してくるカメラとわが身が映つるレンズは、これまでの生涯でもあり得なかった『未知との遭遇』だったでしょう。

このチョウも興味半分防御半分の体勢であったかもしれず、羽(翅)の先端から動きが止まっていませんので、焦点が定まっていません。

改めて感じたのは、チョウの動きの素早さです。
花に止まったと思ってカメラを近づけると、もう飛び去ってしまいます。
この動きを先に読まないことには、鮮明な映像を撮ることもできないようです。

チョウたちと会話しチョウたちに為りきってこそ得られる記録があるのかもしれません。

望遠レンズやズームを用いたり、あるいはビデオ撮影の後にコマ落しで選択することもできますが、しかし、このような目と目が合う映像は、ぎりぎりまで接近しないと撮れないでしょう。

被写体に視線を向けさせなければ、瞳から生きている鼓動を感じられる記録はできないと言えるでしょう。

チョウやハチたちは、私たちの呼びかけを理解することもなければ反応さえもしてくれません。
ですから、私は、これからもチョウやハチたちに数センチメートルまでカメラ本体を接近させ、未知との遭遇を体験してもらい、不思議を見つめる視線と生き生きと輝く瞳を求めて接写を続けたいと思います。

 今日の接写画像 2006年5月15日号の詳細ペ ージ