近くの不規則な小型銀河獅子座A
Credit & Copyright: V. Vansevicius (IoP Lithuania), N. Arimoto (NAOJ) et al., Suprime-Cam, Subaru Telescope, NAOJ
説明:
なぜ、この小さい銀河は、単純ではありませんか?
近くの小さい銀河獅子座Aのこの画像と最近の観測は、この銀河が単純な構造であることを示すはずでした。
現在、獅子座Aは、宇宙の中の銀河の最も一般的なタイプのうちの1つである小型の不規則銀河で、私たちの天の川銀河のようなよりさらに大きい銀河と基礎単位を構成する有望なタイプの銀河として知られています。
一般に大規模な銀河は、近来、それらを囲む小型の衛星銀河を絶えずむさぼって主に構成していることを示していました。
獅子座Aの驚くべき複雑さは、おそらくこのような小さな銀河の多くが、ほとんど大規模な銀河と同じような複雑な形成履歴を持っていることを示します。
獅子座Aは、星座獅子座の方角におよそ250万光年離れて位置し、およそ1万光年の範囲があります。
日本を始めとする多国籍の研究者からなるチームは、すばる望遠鏡を用いて矮小不規則銀河「しし座A」内の星の分布を調べ、この銀河はこれまで知られていたよりはるかに大きく広がっており、しかも外縁部にはっきりとした境界をもっているという新たな構造を明らかにしました。
この発見は、極めて質量の小さな銀河にも複雑な構造が形成されることを示しており、銀河進化理論が解決すべき新たな問題を提示するものです。
宇宙初期から現在に至るまでの銀河の形成、およびその進化を明らかにすることは、天文学の最も大きな課題のひとつです。
現在標準となっている宇宙モデルでは、宇宙初期の密度揺らぎからまず小さな天体(銀河の種)が生まれ、それが衝突・合体を繰り返すことによって、天の川銀河のような大きな銀河が形成されると考えています。
矮小不規則銀河は、宇宙で最も数多く存在している銀河で、誕生から何十億年ものあいだ変わらずにその性質を保持していると考えられています。これらはより大きな銀河が衝突・合体によって生み出される際の種になる銀河ではないかとみられ、研究者の強い関心を集めています。