イタリア・エトナ山の溶岩流と火砕流の記録

 今日の地球画像は、イタリアはシチリア島のエトナ山です。
 2002年の噴火画像を主体に破壊的な自然現象の火山について検証したいと思います。

 火山が噴火するとき自然は大暴れします。どの火山も凶器を持ち、溶岩の川を吐き、灼熱の灰で町を覆いつくします。
 地球の気候を変え、世界的な災害も引き起こします。
 恐竜絶滅の原因ともいわれます。地獄の入り口とも考えられました。破壊こそ火山の本質なのです。
 火山は、気候など多くの生命の糧に影響を及ぼしています。
 大気圏の大半のガスを生み、呼吸に不可欠な空気を造りました。火山性の蒸気は、海や川となりました。
 多くの陸地は、溶岩や火山灰でした。火山性の土壌は、非常に肥沃です。
 南イタリアのこの火山も例外ではありません。山腹には、数千年前からブドウ畑が生い茂っています。

 全世界には、500以上の火山があり、人口が急増する今日では、5億人以上の人々がその近くで暮らしています。
 シチリア島の町、カターニャは、エトナ山に隣接しています。欧州最大にして、世界有数の活火山です。
 火山は、それぞれ違う凶器を持っています。
 エトナ山は溶岩流が有名ですが、他にも破壊の手段を持ちます。2002年の噴火では、火山灰が6キロ上空まで達しました。
 上昇した灰は、当然下降し一帯は、灰皿のようになりました。そして、連日黒い雨を降らせたのです。灰は、地表を覆い隙間に入り、清掃に数ヶ月を要しました。

 好奇心が旺盛な観光客は、危険な火山を平気で闊歩します。
 最近2回の噴火でできた新火口に、数千人が訪れています。
 火口は、数百万トンの溶岩を出す大砲のようです。
 ここ25年間で、11人の観光客が突然の爆発の犠牲となりました。
 これら水蒸気爆発は、割れ目に入った雨水が熱せられれて、岩を飛ばすほど圧力が高まったものです。
 溶岩が吹き出るときのエトナ山は、もっと危険です。
 『火山弾』という溶けた巨岩が降り、専門家でさえ被害に遭います。

 1991年、ある農家に向かって溶岩流が流れてきました。
 状況は絶望的で、祈るしかないと考える住民もいました。
 溶岩が突然、柵を超え、歩くくらいの速度で迫ってきました。どんどん近づき、硫黄臭も漂いだしたほどでした。
 しかし、突然、溶岩が家の手前で止まりました。家屋の壁まで1メートルもないところでした。
 奇跡だと考えた人もいて、祭壇が建てられました。
 ただし、以前は豊かだったこの土地で、もうブドウ畑は作れません。
 一方、奇跡が起きなかった家もあります。

 火砕流のスピードは、時速150キロ以上です。

 無謀なことが好きで死と付き合いたいあなたには、絶好の火砕流と出会える場所をご紹介しましょう。
 カリブ海の火山島モントセラト島をお勧めいたします。
 ここには、世界一危険な火山のスーフリエールヒルズがあります。
 かつて、島の中心地のプリスマは、観光客が溢れる活気ある町でした。
 ところが、1997年のことでした。
 山が住民の許可を得ずに勝手に突然、噴火したのです。

 イタリア・エトナ山噴火と破壊活動の記録の 今日の地球画像 2005年11月2日号 詳細ページ